2014年01月03日

終末期医療 身体的苦痛とその緩和 2014年1月3日

終末期医療 身体的苦痛とその緩和

がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)
http://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2010/index.php?opn=2#2

より抜粋引用する。

1.痛みとは
1)痛みの分類
@痛みの性質による分類
ア)体性痛
[定義]皮膚や骨、関節、筋肉、結合組織といった体性組織への、切る、刺すなどの機械的刺激が原因で発生する痛み。

[治療薬の選択] 非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬が有効であるが、体動時の痛みの増強に対してはレスキュー・ドーズの使用が重要である。また、骨転移痛に対するビスホスホネートや筋攣縮に対する筋弛緩作用のある薬剤など、病態に基づく鎮痛補助薬の併用が必要な場合がある。

イ)内臓痛
[定義] 食道、胃、小腸、大腸などの管腔臓器の炎症や閉塞、肝臓や腎臓、膵臓などの炎症や腫瘍による圧迫、臓器被膜の急激な伸展が原因で発生する痛み。

[治療薬の選択] 非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬が有効である。

ウ)神経障害性疼痛
[定義] 末梢、中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛み。
[治療薬の選択] 非オピオイド鎮痛薬・オピオイドといった鎮痛薬の効果が乏しいことがあるので、鎮痛補助薬の併用を考慮する。

A痛みのパターンによる分類
ア)持続痛
[定義] 「24時間のうち12時間以上経験される平均的な痛み」として患者によって表現される痛み。

[特徴] 鎮痛薬により緩和されている持続痛と、鎮痛薬が不十分あるいは痛みの急速な増強のために緩和されていない持続痛がある。治療やがんの進行に伴い持続痛の程度も変化するため定期的な評価が必要である。

イ)突出痛(breakthrough pain)
[定義] 持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強。

[特徴] 痛みの発生からピークに達するまでの時間は3分程度と短く、平均持続時間は15〜30分で、90%は1時間以内に終息する。痛みの発生部位は約8割が持続痛と同じ場所であり、持続痛の一過性増悪と考えられている。

2)痛みの包括的評価
@痛みの原因の評価
がん患者の痛みのすべてががんによる痛みとは限らない。身体所見、画像所見、血液検査所見などを組み合わせ、痛みの原因について総合的に判断することが重要である。さらに、緊急の医学的対応が必要な「オンコロジーエマージェンシー」を見逃さないようにすることも重要である。

A痛みの評価
ア)日常生活への影響
疼痛治療についての総合的な評価を行うために、痛みにより日常生活にどの程度支障を来しているのかを確認する。

症状が患者にとって許容できるものなのか、それとも対応したほうがよいかという評価はSupport Team Assessment Schedule日本語版(STAS-J)で、下記のように0〜4の5段階で評価する。

0 なし
1 時折のまたは断続的な単一の痛みで、患者が今以上の治療を必要としない痛みである。
2 中等度の痛み。時に調子の悪い日もある。痛みのため、病状からみると可能なはずの日常生活動作に支障を来す。
3 しばしばひどい症状がある。痛みによって日常生活動作や物事への集中力に著しく支障を来す。
4 持続的な耐えられない激しい痛み。他のことを考えることができない。

イ)痛みのパターン
痛みのパターンは、1日の大半を占める持続痛と、一過性の痛みの増悪である突出痛(breakthrough pain)とに分けられる。

ウ)痛みの強さ
痛みの強さ(程度)は治療効果判定の意味からも初診時に評価しておくことが重要である。一番強い時の痛み、一番弱い時の痛み、1日の平均の痛みに分けて評価するとよい。評価法としてはさまざまなツールが開発されているが、信頼性、妥当性ともに検証され、臨床の場で用いられているものは、Numerical Rating Scale(NRS)、Visual Analogue Scale(VAS)、Verbal Rating Scale(VRS)である。

エ)痛みの部位
ボディチャートに痛みの部位を記録する。帯状疱疹、蜂窩織炎、外傷など、がんと関連しない痛みが合併することがあるので、身体所見や画像検査所見などから、痛みの原因となる病変の有無を確認する必要がある。

オ)痛みの経過
いつから痛みが存在するようになったかを確認し、以前からある痛みかどうかを確認する。突然の痛みの出現は、骨折、消化管穿孔、感染症、出血などのオンコロジーエマージェンシーである可能性があるので、必要に応じて合併症の検索を行う必要がある。

カ)痛みの性状
痛みの性状は、痛みが体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛であるかを判断する参考となる。神経障害性疼痛は「灼けるような」、「ビーンと走るような」、「槍で突き抜かれたような」痛みのことがある。

キ)痛みの増悪因子と軽快因子
痛みを強くする、または緩和する要因についても質問する。これによって、痛みが増悪する原因となるような刺激を避け、痛みを緩和する方法を取り入れることができる。
痛みに影響する要因には以下のようなものがある。
増悪因子:夜間、体動、食事、排尿・排便、不安・抑うつなど
軽快因子:安静、保温、冷却、マッサージなど

ク)現在行っている治療の反応
現在行っている疼痛治療の反応を確認する。定期的な鎮痛薬として何を使用しているか、指示どおり服用できているかを確認する。
疼痛治療の副作用として、嘔気、便秘、眠気について確認する。

ケ)レスキュー・ドーズの効果と副作用
疼痛増悪時に使用する薬剤が処方されている場合には、その使用回数、効果と副作用を確認する。
効果は痛みの強さの評価を行った評価尺度(NRS、VASなど)、または、鎮痛薬の効果を評価する尺度(pain relief scale)などを用いて評価する。
 同時にレスキュー・ドーズを使用したことによる副作用についても評価する。

2.痛み止めの薬
がん性疼痛緩和薬は、オピオイド鎮痛薬と非オピオイド鎮痛薬がある。非オピオイド鎮痛薬には、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)とアセトアミノフェンがある。

1)オピオイド
@オピオイドとは
オピオイド(opioid)とは、「オピウム(アヘン)類縁物質」という意味である。麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬などのアルカロイドおよびモルヒネ様活性を有する内因性または合成ペプチド類の総称である。

A利用可能なオピオイドとその特徴
一般的なオピオイドには以下のものがある。
モルヒネ
オキシコドン
フェンタニル
ペチジン
コデイン
ジヒドロコデイン
トラマドール
ブプレノルフィン
ペンタゾシン
エプタゾシン
ブトルファノール
ヒドロモルフォン(※日本では未承認)
レボルファノール(※日本では未承認)
メペリジン(※日本では未承認)
メタドン(※日本では未承認)
オキシモルヒネ(※日本では未承認)

B投与経路
 オピオイドの基本的な投与経路は経口であるが、口内炎、嚥下困難、消化管閉塞、嘔気・嘔吐などの原因から経口投与が継続できず、投与経路の変更が必要となる場合がある。代替経路としては直腸内投与、経皮投与、静脈内投与がある。注射の場合には一般的に持続投与が行われる。それぞれ使用できる薬物の種類、剤形に限りがあり、またその投与経路による特徴も異なるので、個々の患者に合わせて選択する。

Cオピオイドローテーション
オピオイドローテーションとは、オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更することをいう。

D各オピオイドの薬理学的特徴
ア)麻薬性鎮痛薬
a)モルヒネ
b)フェンタニル
c)オキシコドン
d)コデイン
e)トラマドール

イ)麻薬拮抗性鎮痛薬
オピオイド作動薬が存在しない状況では作動薬として作用するが、オピオイド作動薬の存在下ではその作用に拮抗する作用をもつ鎮痛薬。
a)ペンタゾシン
b)ブプレノルフィン

Eオピオイドによる副作用と対策−消化器系の副作用と対策
ア)嘔気・嘔吐
対策
抗ドパミン作用をもつ薬物(ハロペリドール、プロクロルペラジンなど)が制吐に用いられる。嘔気・嘔吐が体動時にふらつき感を伴って起こる場合には、抗ヒスタミン薬の投与を行う。胃内容物貯留・腸管運動抑制が原因となって嘔気・嘔吐が起こる場合には、メトクロプラミド、ドンペリドンなどを投与する。
オピオイドローテーションを行うことでも軽快することがある。オピオイド内用剤から注射剤に投与経路を変えることでも軽快することがある。

イ)便秘
対策
下剤を投与するなどの予防的対応が必要となる。
下剤として、便をやわらかくする浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース)、大腸刺激性下剤(ピコスルファート、センノシド)が有効である。
症状改善には、可能なら水分摂取、運動、食物繊維の摂取も有用である。
状態に応じて浣腸や摘便なども行う。
オピオイド製剤をモルヒネやオキシコドンからフェンタニル製剤に変更することで軽快することがある。

Fオピオイドによる副作用と対策−その他の副作用と対策
ア)眠気
対策
痛みがなく強度の眠気がある場合は、オピオイドを減量する。眠気のためにオピオイドの増量が困難な場合は、オピオイドローテーションを検討する。

イ)せん妄・幻覚
対策
オピオイドが原因薬剤である可能性が疑われる場合は、オピオイドの減量やオピオイドローテーションを検討する。
薬物療法としてブチロフェノン系抗精神病薬(ハロペリドールなど)、非定型抗精神病薬(クエチアピン)の投与を検討する。せん妄を生じている患者が安心できる環境の調整を行う。

ウ)呼吸抑制
対策
酸素投与、患者の覚醒と呼吸を促す。
重篤な場合には、薬物療法としてオピオイド拮抗薬であるナロキソンを使用する。ナロキソンはオピオイドに比べ半減期が短く、作用持続時間は約30分である。そのため、症状の再燃にあわせて30〜60分毎に複数回投与する必要がある。ナロキソンにより痛みの悪化、興奮、せん妄を生じることがあるため、少量ずつ(1回量として0.04〜0.08mg)使用する。

エ)口内乾燥
対策
可能であればオピオイド投与量の減量、口内乾燥を生じる薬物の変更を行う。
頻回に水分や氷を摂取する、部屋を加湿するなど水分と湿度の補給を行い、人工唾液や口腔内保湿剤を使用する。
唾液分泌能が残っている場合、キシリトールガムを噛むなど、唾液腺の分泌促進を試みる。

オ)掻痒感

カ)排尿障害

キ)ミオクローヌス
ミオクローヌスとは、1つあるいは複数の筋肉が短時間であるが不随意に収縮するものである

ク)痛覚過敏

Gオピオイドの与える影響/薬物相互作用

Hオピオイドと食事の影響

I精神依存・身体依存・耐性


2)非オピオイド鎮痛薬
@非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
非ステロイド性消炎鎮痛薬使用時に注意すべき相互作用

Aアセトアミノフェン

3)鎮痛補助薬
@鎮痛補助薬の定義
主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが、鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め、特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物である。

A鎮痛補助薬の種類
ア)抗うつ薬
イ)抗けいれん薬
ウ)局所麻酔薬/抗不整脈薬
エ)NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体拮抗薬
オ)中枢性筋弛緩薬
カ)コルチコステロイド
キ)ベンゾジアゼピン系抗不安薬
ク)ビスホスホネート

3.薬物療法以外の疼痛治療法
1)放射線治療
代表的ながん疼痛治療に対する放射線治療
@有痛性骨転移に対する放射線治療
A脳転移に対する放射線治療
Bその他のがん疼痛に対する放射線治療
原発巣か転移巣かを問わず、痛みの責任病巣が局在する腫瘍として同定されれば、患者の全身状態が可能な限り放射線治療の適応となる。

2)神経ブロック

3)経皮的椎体形成術(骨セメント)

4.がん疼痛治療法
1)WHO方式がん疼痛治療法
@WHO方式がん疼痛治療法とは
A目標の設定
B鎮痛薬の使用法
経口的に(by mouth)
時刻を決めて規則正しく(by the clock)
除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder)
患者ごとの個別的な量で(for the individual)
その上で細かい配慮を(with attention to detail)

三段階除痛ラダー.jpg


2)その他

以上、
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)
http://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2010/index.php?opn=2#2
より抜粋引用。


5.セデーション

以下、
http://kango.919.co.jp/word/%E6%A5%AD%E7%95%8C%E7%94%A8%E8%AA%9E/%E3%82%BB%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/
より引用。

Sedation。鎮静。
セデーションとは薬を使って意識を意図的に落とすことで、苦痛を感じなくさせる治療を指す。ここでいう苦痛とは、身体的苦痛だけでなく、心理的苦痛も含めたものである。

セデーションは以下の2つに分類される。

(1)一時的セデーション(temporary sedation)
睡眠を確保させる、手術時の不安や恐怖感を鎮静薬などを用いて落ち着かせる、などの場合に採用される。QOL(Quality Of Life)が低い状態から一時的に退避させ、セデーション後のQOL(Quality Of Life)改善を見込んで行う。

(2)最終的セデーション(permanent sedation)
死に至るまで持続的に意識レベルを下げること。死に伴う痛みを避ける措置として採られる。QOL(Quality Of Life)の低下を阻止する手段が他にない場合にとられる最終的な処置である。

セデーションはあくまでも苦痛を取り除くために行う医療行為であり、死を目的とした安楽死とは一線を画するものである。ただ、最終的セデーションは安楽死と変わらない、という議論もあり、倫理的に難しい問題である。
終末期におけるセデーションの採用は、患者と家族、医療従事者の間で十分な話し合いを持ったうえで、患者と家族のコンセンサスを取っておく必要がある。




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posted by SR400 at 01:15| Comment(0) | 終末期医療(ターミナルケア) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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